Wednesday, January 4, 2023

Coverage of Toward the Terra in 1979-1980 (Animage, The Anime, Monthly OUT, Animec)

This post consists of anime magazine coverage of the "Toward the Terra" movie from the years 1979 and 1980. The transcriptions are my own personal selection of what I deemed to noteworthy, including comments/interviews from production staff and voice actors. Most story summaries are typically ommited.

November '79 (Animage)

A comment from Takeshi Tamiya on what they plan to accomplish with the film.


竹宮恵子原作『地球へ・・・」がついにアニメ映画化される!! 上映月日は未定だが、120分超大作となる。

「生命、思想まで管理される未来のSD体制のなかで、人類と新人類の若者がどう悩み、どう生きたかを描いていきたい。個性・意自我などを管理された若者のせつなさといったものが出れば、機械文明の否定というテーマにもつながる」東映動画・田宮武プロデューサーは語る。監督の恩地氏はアニメ初体験だが「めぐりあい」「あこがれ」などの青春映画で一家をなした人。この恩地氏の要望で、先日、新劇の5人(男3女2)をつかい、台本のセリフを先にとった。一種のライブ方式だが、こういうのはアニメでははじめて。この理由を田宮氏は「ふつう演出の人が自分でセリフをいって秒数を決めていけど、恩地さんは、それじゃ芝居にならないといってこんどの方式になった」恩地氏を起用し、斬新さをねらったこの映画、すでにその効果を発揮しはじめている。

December (Animage)'79

Comment from Hideo Onichi about the creative process of directing the movie.


東映動画の一室。カベにはイメージボードがベタベタ。以下、その部屋で、アニメ第1作の恩地監督に聞いてみた。「うん、アニメはずいぶん見ましたよ。小学生の子どもがふたりいてね。見たことあるから撮れるだろうと思ってね。でも、この作品にかかってから4か月たつけど、まだよくわからないな。しかし、結局のところ”映画"を撮るんだろう、ということだ。映画なら20年撮ってきてるからね。映画としてならおもしろいものができる。既成のアニメーションではなくね」この映画のテーマは?「人間ってなんだろう、という観念的なものだな。もっとも、これはあらゆるドラマに共通していえるけどね」―アニメの世界をどう感じましたか?「アブストラクトだね。つねに抽象化がある。実写ではどうしたって日常がうつってしまうんだ。とまっていても目は動く、汗は流す・・・だから絵描きさんに、うんと日常を描き込んでいってもらいたい。そうすればちょうどよくなるんじやないかな」演出について・・・。「たとえばアップの顔。最初のほうにでてくるなら10秒、30分たったら7秒ですみ、2時間たったら3秒ですむ。かならずしも決められないけどね。ようするに、テレビなら、食事中だったりトイレにいったりするところを、劇場なら集中して見ているわけだ。2時間なら2時間を継続しなければならないわけだ。最後の数分のために、1時間55分があるといってもいい.....

January (Animage)

Comment from Isamu Tsuchida

SFというと、ファンはすぐに機械的なコンピューターや直線的メカを思いうかべるかもしれない。そして、そういう人は、この映画のはじめのほうは、SFに見えないかもしれない。この作品は、いまの地球の状態からあまり飛躍しない舞台(アトラクシア・教育都市)からはじまる。現実の地球をベースに描いています。反面、地球をゴツく、直線的にした。これは、人間が人間性を失い、感性にすぐれたミューが人間的に描かれるという、この作品のテーマとも関わりがある。このミューの人間性を出すには、メカを全面に出さず、ファンタジックなものにしたほうがいいと思った。つまり、丸っこくてファンタジックなミュー側と、直線的でゴツイ人間側の対比となります。これは、見るものの視覚に直接うつたえかけるもので、とてもわかりやすくなっていると思う。下の絵のマザー・コンピューターも人間に指令を与えるという、むし生き物と考えたほうがよいものなので、生きている要素とメカニックを同居させたものになっている。いまは、ふんだんにでてくる"宙”などの設定・色・イメージなどを模索の状態で、ぼく自身はSFの経験はないが、むしろ意外性がでるのではないかと思っているけど、ま失敗する可能性もある(笑)。宇宙などもノーマルなものではなく、いまの既成概念を変える“宇宙”にしたい。

January (The Anime)

Interview with Keiko Takemiya

超大作SFアニメとして映画化が進む「地球(テラ)へ」の原作者、竹宮景子さん。最近は少年たちの歌声を集めたLP 「過ぎゆく時と友だち」を自ら構成・演出して話題を呼んだ!

『地球(テラ)へ」の映画化要望は「999」以上!

Q. ―今度、竹宮さんの作品の「地球(テラ)へ」が、アニメ映画化されるそうですね?

Takemiya. ええ、東映動画で、いま制作中なんです。監督の恩地目出夫さんを中心に快調に進んでいるところだと思います。

Q.「マンガ少年」に連載されている原作は、かなり長いものですけれど?

Takemiya. ええ、現在、大づめに入って第4部を書いているところですが、映画では、第1部から最後の第4部まで、完全に私の原作どおりのストーリーで作られることになっているんです。

Q. すると、もう第4部のお話は、ラストまで出来上がっているわけですね?

Takemiya. だいたい大まかなストーリーは決まっていますけど、結末は秘密ですよ。ファンレターなんかでも、結末あれやこれや予想したものが多いですけど......。映画の場合、2時間という上映時間の制限がありますので、かなり原作の話がカットされる部分もあって、大まかなストーリー展開になっていますけど、「マンガ少「年」の連載には、もう少しラストの展開を、細かい部分まで練り直して行きたいと思ってます。

Q. 映画化の話は、いつごろから始められたのでしょう?

Takemiya. じつを言いますと、「銀河鉄道999」より早く、「地球(テラ)へ」の映画化の話がもち上がっていたんです。と言いますのは、以前、東映動画のファン・クラブで「アニメ映画化して欲しい漫画は?」というアンケートを取ったことがあるんですが、そのとき、第1位にあがったのが、この「地球(テラ)」だったんですよ。そのときの2位が「999」で3位が「キャプテン・ハーロック」です。結局「999」の方が先に映画化されましたけどね。

Q. どうして、1位の「地球(テラ)へ」が後回しになったんですか?

Takemiya. それは当然でしょう。こういう作品が、はたして映画に出来るものかどうか。たとえ映画化されたとしても、マニア受けはするでしょうが、一般に受け入れられるかどうか、ということが大きな疑間になって、東映動画の制作側も時見送ることにしたらしいです。

Q. それが、今回、映画化されることになったのは、何か理由があるんですか?

Takemiya. そうですねえ・・・私もよくわかりませんが(笑)きっとブームのせいじゃないでしょうか。アニメ映画ブームとでも言いますか・・・・・・最近、テレビなんかで当たったアニメを劇場用の作品にするケースが非常に多くなっていますし、アニメ映画がたいへんヒットしているみたいですから......。そういうところから、もう一度「地球(テラ)へ」の映画化の話が起こったんじゃないでしょうか。かなり冒険ですけどね。大当たりするか、全くダメか?(笑)

Q. それは、この作品が、ちょっと難解なSFだから、ということでしょうか?

Takemiya. これは、かなり大人向けに作った話ですし、映画も原作の話をそのまま、高校、大学生向きに作られていますから……子供にはきっと、物語の意味は理解出来ないでしょうしね。なにしろ、大人がこれを読んでも、理解しずらいって言われることもありますから。ただ、今回の映画の場合、ストーリーを検討する段階で、私も加わりましたが、エピソードなどもわりあい整理されましたし、漫画よりは、わかりやすくなったんじゃないかと思います。

ロベルティーノが声の中によみがえる!

Q. ところで、最近、2枚目のLP「過ぎゆく時と友だち」を出されましたね。

Takemiya. ええ、ビクター・レコードからお話がありまして......。1枚目の「ガラスの迷路」では自分の世界のイメージを音楽化しようということで、正直言って、かなり音作りに苦労したんです。けれど、今度のLPは、私の好きな世界を作ろうと考えて、少年たちの歌声で構成することにしました。

Q. 少年たちの歌声という企画は、日本では、あまりない新しいものですね。

Takemiya. 日本には少年の歌手という存 在は、あまり見当たりません。欧 米では、十数年前にイタリアにロ ベルティーノという天才少年歌手が現われましたし、スペインのラムンチョとか、イギリスのニール・リードとか、カナダのルネとか、数えきれないほどの素晴らしい少年の歌手がいるんですね。だから、日本の少年にも、カンツォーネとかシャンソンとかを歌わせることが出来たら、本当に素晴らしいことだって思って、さっそく制作にとりかかったんですよ。

Q. その少年たちは、どうやって集めたんですか?

Takemiya. ビクターの少年合唱隊があるんですけど、その中からオーディションで選びました。練習にも何日もかかりましたね。みんなさすがに素晴らしい声を持ってるんですけど、ただちょっと表現力に欠けましてね。その点に重点を置いた指導が中心でした。みんな素直ないい子たちばかりです。

Q. 曲を選んだのは、竹宮さん自身ですか。

Takemiya. ええ、私が少年たちに歌わせたいと思う曲を1曲選んだんですけど、選択に困りました。あれもこれもと、歌わせたい曲が山ほど浮かんで来るんですよ。中でも、カンツォーネの「バンビーノ」という曲は、例のロベルティーノの歌声を、私が初めて聞いて感激したときの印象深い曲です。私の作品の「ロベルティーノ」にも、その歌詩を引用したこともありましたね。それから、私はミュージカルの「オリバー」の中の曲も好きなんです。あのミュージカルはとってもいいですよ。その中から一曲選んでいますし、「マルセリーノの歌」も入ってますよ。あの曲こそは男の子が歌うためにある曲です。

Q. とってもさわやかな感じのレコードですね。

Takemiya.: 本当に作って良かったナ、私自身、そう思えるステキなレコードが出来上がって、もう嬉しくて全部で半年ほどかかりましたが・・・・・・私の夢と情熱をそそぎ込んだレコードと言っても、言いすぎではありません。録音が終わったとき、あのロベルティーノの歌を初めて聞いたときの、なんとも言えない感動がよみがえって来ました。

February (Animage)

ついに、ゴールデン・ウィーク公開決定!!

Movie is at the final stages of production and planning for an April release.


いま、レイアウトを半分終え、すでに原画に入っている。4月下旬の上映をめざし、製作快調。この上映にともない、この映画の宣伝キャンペーンを担当する徳山雅也氏(メジャー・エンタープライズ)は----「この作品、タイトルからしてマニア的。地球がラテン語でテラだというのも一般には知られていない。だから、テラって何だろうという若者を中心に宣伝していきたいと思う。ストーリーも難解だが、この映画を見れば青春のせつなさ、ひたむきさ、みずみずしさなどが感じられ、とても大きなテーマをもった青春大河ドラマだとわかるはず。このへんもキャンペーンしていきたい。ポスターの第一弾は竹宮恵子さんに描いてもらいました。今後もポスターを2~3点だすし、竹宮さんのサイン会や、レコード会社とのタイアップなどを、春休みをピークとして行なう予定です。キャッチフレーズはまだ決まっていないが“新しい青春の発見”"サン然と輝く80年代のアニメなどを考えています。期待してください」

主題歌レコーディング

The recording for the theme song is held December 6th.
12月6日『地球へ・・・』の主題歌『地球へ…』の収録が、日本コロムビア第4スタジオでおこなわれた。東映動画・有賀健氏など関係者の見守るなか、この曲を歌ったダ・カーポ(「結婚するって本当ですか」などのヒット曲で知られる)は「シナリオを読んでこの話の設定の大きさにビックリ。女の人でよく描けるなあと思った。能力で選別されていくって、いまの社会にもあるでしょう、警鐘にもなっている作品」と、この作品についてふれたあと、主題曲の感想を「LPではこういったPOPS調をよく歌うけど、シングルでのPOPS調の曲ははじめて。活気があり、ワクワクする。メロデイも歌いやすくのりやすい」と語り、ほんとうに収録がたのしいといった感じだった。シングル盤は2月1日日本コロムビアより発売。(作曲・小田裕一郎作詞・竜真知子)

Interview with Masami Suda

(須田氏の主な作品にはガッチャ ガ・キーン、スタージ ジャン・バルジャンなどが SFを得意とするが、 などのメルヘンも好きだそうだ)

Q.『地球へ…』のキャラについて。

Suda.「キャラはほとんど原作のとおり。た だ、雑誌の絵は、コマの制限のためだ と思うが、寸法が少しちぢんでいる感 じがする。アニメの場合は比率をピッ チリ決めなければなりません。キャラ の色? 背景にとけ込むような自然な 色をつかいたいという恩地監督の意向 で、原色はほとんどありません」

Q. 作画、レイアウトでもっとも特徴的なことは?

Suda.「一口でいえば実写的ということ。人 間、室内の物などの位置・距離・高さ・ 光と影などの計算を綿密におこなう。 つまり、50メートルを4~5歩でいっ てしまうようなデフォルメはない。物 の影なども注意し、カメラ位置の移動 ともなう微妙な変化も追う。それと、 この作品は、2時間10分ですが、30力 ットしかない。それだけーカットが長 て、いかに芝居をさせるかという勝負。 バーンしてトラックアップしてまたパ してというように、キャラがリア ルな重みをもって動いていきます」

February (The Anime)

帰るべき故郷地球へミュウの運命を背負うジョミーの闘い!

三×××年、人類の文明は頂点を極め、ワープ航法によって宇宙への進出も可能となっていた。だが、地球自体は衰退しており、なすすべのない人類は、人類そのものを変革するため、特殊政府体制を築いて、大人社会と子供の育成社会を区分したのである。子供は、すべてコンピューター・コントロールによって作られ、人工惑星アタラクシアの育英都市で、保父と母によって育てられて、14歳の”目覚めの日”に行なわれる「成検査」を受け、過去のいっさいの記憶を消されて、大人社会へ組み込まれるシステムになっていた。ところが「成人検査」は、皮肉なことに、管理社会の異分子である”ミュウ”を生み出した。"ミュウ〟は超能力を持つ、新人類である。ユニヴァーサル・コントロールはエスパー・チェックESP検査によりミュウを見つけ出しては、過酷な弾圧を加えたが、ミュウたちは結集し、宇宙船を奪ってアタラクシアの地下に潜んだ。彼らの悲願は、その存在を認められ、地球へ帰ることであるが、人類はこれを拒否し、敵対していた―。アタラクシアで今、“目覚めの日”を迎えた少年ジョミー・マーキス・シンは、「成人検査」の際中、突然の妨害を受けて、ミュウの船へ連れてこられた。これは、ミュウの長、ソルジャー・ブルーの意志だった。ミュウは全体的に虚弱体質であるが、ジョミーは生まれつき健全な肉体と、ESPを越えた原始の力を備えた、ミュウの理想的な指導者だったのである。ミュウの歴史と悲願を知ったジョミーは、寿命の尽きたソルジャー・ブルーの遺志を継ぎ、新しいソルジヤーとなって、船を地球へと向けた一方、地球には人類の運命を背負った男、キース・アニアン中尉が登場した。彼はマザー・コンピュータの保育オペレーターが生み出したエリートであり、地球の人間管理システムに疑問を感じながらも、ミュウと戦うために立ち上がったのだ。その頃、ジョミーを指導者とするミュウたちは、惑星ナスカに身を潜めていたが、ナスカを安住の地と考える若者たちと、人類への復讐心にとらわれる長老たちとの間で、感情的な対立が起こり、ジョミーはその板ばさみとなって苦しんでいた。そんなジョミーの心を優しく包み込んでくれる、盲目の女占い師フィシス。彼女と地球のエリート・キースを結ぶ、不思議な運命の糸・・・・・・。そして、ミュウの正式な結婚によって生まれたトォニィ。だが、トゥニィには、人類やミュウの能力をはるかに上回る、第三の力が......。キースの率いる地球防衛軍の放っミサイルが、ナスカを破壊し、ミュウの三分の一を死滅させた。船団を率いてナスカを脱出したジョミーは、ついに地球へ宣戦布告した。

Hideo Onchi Spotlight

昨年、フジテレビの「飢餓海峡」仕事で浦山郎さん(監督)と]緒だった。浦山さんは東映動画「龍この子太郎」の演出をされた方で、それで僕にもアニメの仕事やってみないかって......。そこから話が発展して、今回の「地球へ・・・」を監督することになったわけです。今までのSF概念を打ち破ってみたいですね。何千年も先のメカなん現在の機械からは予測もつかないものですよ。結局、一番精巧なメカは人体じゃないかって気がする。だから、コンピューターのデザイン眼球や耳のコマクのフォルム、脳の構造などから発想してみたんです。アニメの仕事は初めてで、最初は、戸惑ったけど、やってるうちに、常に面白くなって、ノッて来ました。

Takeshi Tamiya Spotlight

「地球へ…」の制作が順調に進む東映動画の制作現場を訪問し、スタッフのみなさんの熱心な仕事ぶりにアタック、その声を集めてみました。まず、制作室におじゃまして、プロデューサーの田宮さんに、この作品の見どころを、お聞きしました。”地球へ…〟は、竹宮恵子さんの作品の初めてのアニメ化ですが、キャラ・デザインの監修やシナリオ、絵コンテの検討は、竹宮さん自身に行なっていただき、竹宮さんの世界を忠実に映像化することを心がけています。また、恩地監督は、これまでの実写の経験をアニメに取り入れ、新しい試みがいっぱいですよ」そのひとつが、ワンカットの長さ。20秒以上もあるカットは、これまでのアニメでは考えられなかったこと。動きの実在感を出すためだが、それだけ、アニメーターの作業もたいへん。また、スタッフには、SF専門ではない人たちが多いのも特徴だ。「SFといっても、この作品は、従来のメカ中心のものと違って、イメージの豊かさが大切なんです。新鮮な才能と感覚によって、斬新なSFイメージに挑戦してみました。特に、宇宙の背景は、特殊な手法を使って、全く新しい空間を創造することに成功しました。期待して下さい」いったいどんな素晴らしい映像が画期的な宇宙空間が、我々の目の前に展開されるのだろう?4月末からのゴールデンウィークの封切りが今から楽しみになって来ました。

Masami Suda Spotlight

竹宮恵子さんのスケッチをもとに、みごとに原作通りのキャラを描き出した須田さんは、竜の子プロで「ガッチャマン」などを担当したこともあるベテランです。「恩地監督は、実写なみのライティング(影のつけ方)をしているので光と影のコントラストの出し方が、作画の腕の見せどころですね。また構図も独特で、人間の目の位置を中心にしたカメラアングルというのはアニメではめずらしいもので、自然な画像を作り出す試みですね。ちょっと難しいのは、超能力を絵で見せるのにはどうやったら良いかっていうことで、アイデアを絞ってます」

Katsumi Aoshima Spotlight

「描きやすいキャラ?どのキャラも、動きが難しいんですよ」と、言いながらも、もくもくと作業を続ける青島さんは、原画担当。「実写なみに、ワンカットが長いでしょ。普通、二時間のアニメなら、千五百カットぐらいなんですが、この作品では約650カット。カット数が少ない分だけ、ひとつのカットの時間が長くなるわけです。これは原画にとっては、しんどい作業ですね。キャラのアクションのごまかしがききませんし、動きを飽きさせないような工夫も必要になってきます。でも、実際の動きに近づいて、今まで動かせなかった部分も、充分に動かす、という楽しさはありますね」青島さん。フリーの立場からの参加だが、これまで、主に東映動画の仕事を中心にやって来ただけあって、そのタッチを心得た腕前が見ものです。

Isamu Tsuchida Spotlight

「今回、初めてSF的な作品に挑戦してみました」土田さん。これまでは、「龍の子太郎」「長靴をはいたネコ」「宝島」などの名作路線での仕事が多く、今度の「地へ…」では、百八十度の方向転換で、初のSFものを手掛けます。「じつは、僕は、メカに拒否反応のある人間なんですけど......」しかし、その豊かなイメージの広がりを見込まれて、美術担当への起用となりました。「同じSFものでも"ヤマト”や”999"と違って、視覚的に明確な舞台がないので、試行錯誤の連続ですが、それだけ、これまでの機械的なメカを飛び越えて、もっとイメージを大切にしたものが描けるんじゃないかな。SFの新しい可能性を引き出してみたいですね」SFの可能性、というより自分の可能性に賭ける土田さんは、ロマン多き男。きっと壮大で幻想的な世界を描き出してくれることでしょう。

Yoshitaka Yashima Spotlight

「アニメのメカというのは、普通角い形のものが多いですけど、この作品に登場するメカは、かなり風変わりな形をしているものばかりでねえ….....。それを動かすときの描き方も、かなり難しいですね。つまり、メカの動きによって、描角度もいろいろな方向から、とらえてゆかなければならないわけです。だから、細かい部分の描写とか、メカの動かし方なんか、非常に苦心するところですね」と思案中の八島さん。忙しく作業の進む制作現場の中で比較的のんびりしているのが動画部だが、それも今のうちだけ。「動画の仕事は、作画の最後だからまだ作業が回って来てないけど、これからモーレツに忙しくなるんですよ。さあ、ガンバろう!」

Yoshikatsu Katsai Comment

「これまでのSFと違って、もっと不思議な世界だという感じを出してみたいと思ってます」笠井さん。机の上のボードには変わった形のメカが描かれています。「メカは、ひおあきらさんの設定に新しい発想を加えて、描きました。宇宙船は、貝殻をモチーフにして海のアメーバが拡大したみたいな感じを出してみましたし、コンピューターも、眼底とか、脳の形から発想した独特なものです」どうやら、映像だけ見ていても、充分楽しめる映画になりそう。「やはり、大スクリーンに写るわけですから、テレビ・アニメでは出来ない、映画としての映像を作り出したいですね。この作品が成功するかどうか。スタッフの才能の勝負です」全体のまとめ役としての笠井さんの眼は、意欲に燃えていました。快調に制作が進む「地球へ・・・」は今年の話題をいっきにさらう、画期的な超大作になりそうです。

March (The Anime)

ミュウの出現から闘いの歴史が始まる

時は—はるか未来のS.D500年。人類の文明は絶頂期を迎え、ワープ航法により広大な宇宙へ進出できるようになっていた。だが、地球自体は資源の不足、環境汚染などにより、滅亡寸前であり、なすすべのない人類は、人類そのものを変えるため、特殊統治体制を築いて、大人社会と子供社会を区分した。地球から2万光年離れた人工惑星ナース・エデュケイショナル・タウンアタラクシアの幼年育英都市で、生まれてくる子供は特殊な教育をされる。そして、14歳の《目覚めの日》を迎えた子供は、成人検査を受け、合格した者だけが、地球へ送られて健全な市民として生活することができる。ところが皮肉なことに「成人検査」は、管理社会の異分子である《ミュウ》を生み出した。彼らは超能力を持つ新人類である。

ジョミーとキースの対決はミュウと人類の運命を賭ける

ユニヴァーサル・コントロールはESP検査によりミュウを見つけ出し、過酷な弾圧を加えていたが、やミュウたちは結集し、宇宙船を奪ってアタラクシアの地下に潜んだ。ミュウたちの悲願はただひとつ人類にその存在を認められ、地球へ。帰ることだった--ミュウの長・ソルジャー・ブルーは、その指導者だったが、彼の寿命は終わろうとしていた。彼は、自分べって意志を継いでくれる。心も身体・健全な、ミュウの長となるべき者を求めていた。アタラクシアで今《目覚めの日》を迎えようとしているジョミーキス・シンこそ、その運命をもった若者だった。シーでジョミーのことを知ったソルジャー・ブルーは、14歳の誕生日を迎えたジョミーの、成人検査を妨害し、ジョミーを自分たちの船に連れて来る。まだ自分の能力を知らないジョミは、最初ミュウたちに反発するがやがて巨大な能力にめざめる。自分で能力を抑えきれない。を助けたソルジャー・ブル尽きてしまった。ミュウの歴史と悲願を知った。ミーは、寿命の尽きたソルジャーブルーに代わって、その意志を継ぎ、地球へと向けた--。E1077教育惑星…………成入検査をパスした少年たちが、地球へ向かう最後の教育を受けるこの惑星は、《マザー・イライザ》と呼ばれッグ・コンピューターによって完全に管理されていた。そして、ここにはキース・アニアンという少年がいた。彼はマザー・イライザの申し子と言われる超エリートであり、将来・の人間の指導者となるように、扱われていた。キースは、マザー・イライザによって作られた実験体=アンドロイドだった。その秘密を知ったキースは、自分に絶望しながらも、ミュウを憎んで生きていた。一方、アタラクシアの地中から脱出し、ジョミーを指導者とするミュウたちは、地球辺境の惑星ナスカに身を潜めていた。そして、ミュウたちの間に、大きな喜びが訪れた。S・D時代になって以来、初めて試験官ではなく母間から、ひとりの男の子が産まれたのである。ジョミーとミュウの女性、カリナの間に出来た子供、それがオジイだった。しかし、トゥニイには、ミュウリ上の新しい能力が多くて色んそして、キースの率いる地球防衛軍の総攻撃が開始され、ナスカは全滅してしまう。ナスカを脱出した。ウの船団を率いて、ついに地球立ち向かって行く---。・人類とミュウの運命をかとキースの対決が迫る!

「地球へ・・・」の風変わりなメカは、いままでの常識から脱皮

おや?「地球へ…」に登場するメカは、ちょっと面白い形をしていますね。これまでのSFアニメでは見られなかった、風変わりなデザインのメカが、「地球へ・・・」の特徴になっているようです。「地球へ…」の制作スタッフは、今までのSFの、決まりきったイメージにとらわれず、もっと新しい、豊かなロマンの広がりをめざして、画期的な映像作りに、取り組んでいます。そんなスタッフの、SFに対する積極的な気持ちが、これらの風変わりなメカを、生み出したといえるでしょう。ですから、「地球へ・・・」に登場するメカには、あまり機械的な感じがありませんね。ちょっと幻想的な世界の不思議なメカという感じがしませんか?もっとも、今から千年以上も先の時代のメカなど、予測もつかないものです。ですから、「地球へ…」のメカの場合、もっと自由自在な発想で描こうという試みから、そのデザインのモチーフは、かなりユニークなものが選ばれています。例えば、ミュウの宇宙船をはじめアタラクシアや地球連邦軍の宇宙船は、貝殻をモチーフにしてデザインされています。ありきたりの流線型の宇宙船とは違って、いかにも遠い未来のメカ、という感じがしませんか?また、メカの中でも、最も精巧なコンピューターは、ここでは、まるで細胞のように描かれています。「どんな機械よりも、一番精巧なメカは人体じゃないかなって気がする」という、恩地日出夫監督のアイデアから、コンピューターは、人間の身体の構造をモデルに、描かれています。眼や耳のコマクのフォルムをモチーフにしたコンピュータがあり、すべてを支配するマザー・コンピューターは、脳の構造をもとにしています。ロマンあふれるイメージの世界を大切にして制作されている「地球へにふさわしい、夢のあると思いませんか?ただ、こんな風変わりで複雑なメカを動かす、アニメーターの人たちは苦心しているようです。細かい描写やメカの動かし方などは、かなり大変みたいですネ。

Comment from Takeshi Tamiya

画期的な手法で描いた宇宙の背景が特徴

原作と映画の物語は、根本的に大きな違いはありませんね。原作では物語があちこち飛びますが、映画の場合は、中心となるストーリーに絞っています。テーマや物語の展開は、原作と同じです。前半の見どころは、キースがシロエと張り合い、自分がテスト・チュブで育ったことを見破られて、殺してしまうところです。ここは原作でも、大きな見せ場でしたね。ひとつだけ、原作と違うところがあります。ミュウたちが、アタラクシアから脱出してナスカという辺境へ行き、そこで束の間の平和を得て、試験管ではなく、自分たちの母胎で子供を産もうとします。ここは、原作ではカリナという女性が、恋人との間に子供を産みますが、そこを映画では、ジョミーとカリナの間に子供が生まれることに変更しました。その子供がトォニィになるわけです。それから、ミュウの中で、ナスカに安住しようとする若者たちと、間に対抗しようとする長老たちの間に争いが起こり、そこへ地球から総攻撃を受けて、ナスカが全滅してしまうところがあります。このトォニの誕生とナスカへの総攻撃も、大きな見どころとなるでしょうね。終盤では、やはり、ジョミーとキースの対決が最大の山場になります。映像的な面での見どころは、まず恩地監督の実写的な感覚です。カメラの視点を、つねに人間の目で見る位置にして、背景までしっかりとらえているところなどは、今までのアニメには、あまりなかったことですね。背景の宇宙空間も、見ものですよ。今までにない、画期的な手法で描き出した宇宙の背景は、非常に斬新なもので、素晴らしい透明感があるんですよ。それに、作画監督の須田正己さんが、全カットのレイアウト、構図取りを行なっているのも、大きな話題になると思います。音楽は、佐藤勝さんに作曲していただきましたが、大編成のオーケストラによる重厚なサウンドは、なかなか聞きごたえがありますよ。

大オーケストラの壮大なサウンドが「地球へ・・・」を彩ります

去る1月11日、赤坂のコロンビア録音スタジオで、「地球へ・・・」のBGMがレコーディングされました。レコーディングの行なわれた第1スタジオでは、監督の恩地日出夫さんの見守る中で、作曲者佐藤勝さん自身の指揮による大編成のオーケストラの演奏が開始されました。佐藤勝さんは、アニメの作曲は、今回が初めてとのことですが、映画のBGMは以前から手掛けており、最近では、黒沢明監督の大作「影武者」の音楽も作曲する、実力派です。「地球へ…」のBGMは、昨年8月より取り掛かり、約30曲の音楽を作りました。「地球へ・・・」の場合、その音楽の作り方は独特でした。普通、BGMは、画面が出来上がってから、その動きを見て曲を作り、演奏するわけですカ「地球へ・・・」では、音楽そのも「地球へ・・・」の素晴らしい音楽が、出来あがりました。80年の話題作にふさわしく、「地球へ・・・」の制作は、その音楽作りにたいへん力を入れて来ました。ダ・カーポの歌う主題歌は、作詞竜真知子、作曲・小田裕一郎、編曲・川上了という、音楽界のヒットメーカーによって作られ、すでに昨年中に、レコーディングも終了。そして、作曲家・佐藤勝氏によるBGMも、ようやく完成しました。「地球へ・・・」は、いったいどんな音楽を、聞かせてくれるのでしょうか?ののイメージを大切にしようという考えから、映像と音楽は別々に作られました。ときによっては、絵の動きを音楽に合わせることもあるようです。そのため、レコーディングのスタジオでは、タイムキーパーの女性が演奏を聞きながら、いそがしく台本目を走らせ、ストップウォッチで秒数を計るという、ちょっと変わっ風景も見られました。こうして30曲ほどのBGM録音が終了しましたわけですが、そのフルオーケストラの重厚で壮大なサウンドは、まさに、大宇宙を舞台にする「地球へ・・・」にふさわしく、素晴らしいものです。序曲で弦の奏でる美しく、しかもスケールの大きい音楽を耳にしただけで、あなたはもう「地球へ…・」の世界に引き込まれてしまうでしょう。

「テラ」ってどういう意味?

「地球へ…」は、今から千年以上も 未来の世界の物語なので、聞きなれ ない言葉や、新しい言葉、ちょっと 面白い言葉が、いくつか出て来ます。 中には、少し難しいなあ、って思わ れる方もあると思います。 そこで、そんな言葉をいくつか集 めて、「地球へ・・・」のミニ辞典を作 ってみました。

テラ ラテン語で、地面とか大地 そして、「地球」の意味です。
S・D時代 「地球へ・・・」の物語 の舞台になっている。地球の未来の 時代のことです。 地球は科学力が発達し、ワープ航 法によって宇宙へ進出できるように なりましたが、その一方では、天然 資源が少なくなり、人口増大、環境 汚染のため、地球自身が滅亡し始め ます。そのため、人類は、人類その ものを変えようと、特殊統治体制を 築いて、完全な管理社会を作り、大 人と子供の社会を区分します。それ がSD時代です(S・Dとはスペ リオルドミナントの略号です)
目覚めの日 14歳の誕生日のこと で、幼年育英都市アタラクシアでの 成人の日”にあたります。
成人検査 ”目醒めの日”を迎え た子供が、必ず受ける検査のことで す。 大人の社会を何も知らずに育っ 子供は、この成人検査”によっ て、大脳への直接コンタクトを受け 社会のシステムを教えられながら、 過去のいっさいの記憶を消されてし まいます。 この検査に合格した者だけが、地 球へ送られ、大人社会に入って生活 することが出来るのです。
ミュウ 超能力を持つ新人類で、 S. D336年に、初めて発見され ました。彼らは管理体制”に入れ ない異分子で、人間から激しく弾圧 されます。 ミュウは思念波を持って、人の心 を読むことができます。全体的に虚 弱体質であるのが特長です。
マザー・イライザ 社会の人々を 完全に管理しているビッグ・コンピ ューター。実験体(アンドロイド) を作り、エリートとして社会に送り 込んでいます。
アタラクシア 地球から2万光年 離れた人工惑星で、そこには幼年育 英都市が築かれ、子供たちの特殊な 教育を行っています。
アタラクシアの子供 S・D時代 では、子供は結婚によって生まれる のではなく、すべてコンピューター ・コントロールによって、試験管の 中から作り出されています。 アタラクシアでは、保父・保母が ひとりの子供を目醒めの日”まで 育てます。また、アンドロイド・ロ ボットが、子供を育てる場合もあり ます。 子供たちは、常にユニバーサル・ コントロールに監視され、健全な生 活をし、必要な教育を受けて、悪い ものからは、いっさい切り離されて います。これは、大人社会に入って から、社会の清浄化に役立つために 行なわれている教育です。
深層心理テスト ユニバーサル・ コントロールが、子供の心を監視す るために行なう、心理テスト。子供 の心の奥に、危険な感情、悪い感情 が芽生えていないかどうかを、テス トするものです。 子供に、30通りほどの、心理検査 と質問をし、その反応をチェックす るのですが、子供にとっては、とき には、すさまじい苦痛となることも あります。
ESP検査 子供がESP まり、ミュウであるかどうかを検査 するものです。 検査される本人は、気づかないう ちに、すべての行動をチェックされ、 少しでもミュウらしい動き(超能力) があった場合、たちまち抹殺されて しまいます。
なきネズミ ミュウが開発した、 小さな動物です。 ごくわずかですが、テレパシー(感 応力)を持っており、また、ミュウ の送るテレパシーを中継することも 出来ます。
ユニバーサル 幼年育英都市にあ って、子供の教育を管理しています。 E 1077 エリートの教育を するステーションです。 成人検査”を優秀な成績で通過し た者を、さらに教育するところ。
メンバーズ・エリート 地球の中 枢機関の一員になった者。これは8 人しかいません。
VIP地球の重要人物の集まり で、重要な事項の決定を、ここで行 います。

楽しみな話題がいっぱいの「地球へ・・・」制作発 表会

77年、78年の「宇宙戦艦ヤマト」79年の「銀河鉄道999」に続く、80年のSFアニメーション超大作として『地球へ・・・』の完成が間近になり、その制作発表会が去る1月22日に、東京内幸町のプレスセンター・ホールで行なわれました。この大作『地球へ・・・」は、竹宮恵子さんの作品の中では、初めてアニメ化されるもので、制作に当たっている東映動画では、四月下旬のゴールデンウィークの封切りに向けて、現在快調に制作が進んでいます。竹宮恵子さんの原作は、今「マンガ少年」に連載中ですが、大学生、高校生を中心とする若い人たちの間で、爆発的な人気をよんでいます。壮大なスケールとロマン、今までにない全く新しい発想のSFが、いったいどんなアニメ作品になるの大いに楽しみです。その制作発表会の席には、原作者の竹宮恵子さん、監督の恩地日出夫さん、声の出演者に決定した秋吉久美子、沖雅也、井上純一、志垣太郎、薬師丸ひろ子の各俳優さんたち、そ主題歌を歌うダ・カーポ、BGMを作曲した佐藤勝さん、さらに、東映動画の今田智憲社長、田宮武プロデューサらが出席し、主題歌とBGMが流れる中で、にぎやかな発表会となりました。制作発前に先立って、今田社長から、御挨拶があり、「大好評の「999』の後を受けて、かねがね計画していた『地球へ・・・』を公開します。ヤング向けの長編アニメ第2弾を御期待下さい」とのこと。映像の新しい手法、豪華な俳優による声の出演など、『地球へ…』には話題がいっぱいです。

新システムによる制作はG・Wに向けて完成間近!

次に制作者と出演者の発表です。竹宮恵子さんは、「若者たちの夢、青春を描き、新しいタイプと古いタイプの人間たちが、お互いの存在をかけて、未来の生き方を考えて行く作品です。それが映画になって、高校、大学生だけでなく、もっと広い人たちに観ていただこれば嬉しい」と、今回の映画化に大いに期待しているようです。恩地日出夫監督は、実写の監督で、アニメを手掛けるのは初めてとのことですが、「初めはいろいろ悩みましたが、とにかく映画として作るんだ、という気持ちでやりました。実写もアニメも、映画を作ることに関しては同じです。だから、この作品映画として評価していただきた「い」とのこと。その実写的な手法を取り入れた新しいアニメの映像作りが、期待されます。BGMの作曲は、黒澤明作品をはじめ日本の代表的な映画の音楽を手掛け、この「地球へ・・・』の音楽を担当した佐藤勝さん。これに続き武者』の音楽にも入る予定です。「普通のやり方と違い、制作現場より先に、絵コンテを見ながら作曲しました」アニメ作品の作曲は初めてで、「今のアニメ技術の高さに、驚いています。映像芸術と言えるんじゃないでしょうか」続いて、声の出演の発表「地球へ・・・』では、メインキャラの声に、大変豪華な俳優たちを使い、そのほとんどがアニメの出演が初めてというのも、大きな話題となりそうです。主人公のジョミー・マーキス・シンを演じるのは、テレビ「あさひが丘の大統領」で人気の井上純一さん。「アフレコはやったことがありますが、アニメは初めて。なにせ主役なので一生懸命頑張ります。」とジョー役への意気込みも充分です。ヒロインのフィシスには、もうお馴染みの人気女優秋吉久美子さん。「私とアニメって一番遠いみたいだけど、本を読んだら、すごく面白いのでひき受けました。でも本当はどうしていいか、見当もつきません」ジョミーの敵キース・アニアンには、沖雅也さん。「かたき役ではなく、つねに愛を捨てきれずに生きる男を「演じます」クールな二枚目ぶりは、キースの役にピッタリ。ジョナ・マッカは、映画「野性の「証明」でアイドルになった薬師丸ひろ子さん。「難しいですけど頑張り「ます」と少し緊張ぎみでした。「途中で死んじゃうのは残念だけど・・・」とソルジャー・ブルーの志垣太郎さんだけが、5人の出演者の中で、唯ひとり「ベルばら」などのアニメ出演の経験があります。

注目される声の出演者ユニークな顔ぶれ揃い!

このように「地球へ・・・』は、竹宮作品初のアニメ化、恩地監督も作曲の佐藤さんも初めてのアニメの仕事、出演者もほとんどアニメの声は初めて、という”初めて”づくしで、興味のあるところですが、特に今回、声優でなく俳優を選んだ理由を、恩地監督はこう語っています。「絵で作る画面というのは、どうしても抽象的になってしまう。そこに人間の存在感を出すため、声の方はいわゆるパターンではなく、気持ちで芝居をしていただこうという考えで、初めての俳優を選びました」また、この作品では、今までの制作のやり方とは違い、レイアウト・システムをとっているので、チーフアニメーターの須田正己さんが、全部のカットをレイアウトしているのも、アニメファンには興味のあるところですが、現在の制作の進みぐあいについても、恩地監督から説明があり、「もうすぐレイアウト終了で、今、背景、動画に入ったところです。2月中旬には撮影に入ります」と、仕上げの追い込みに入っているようです。そして、ダ・カーポの歌で主題歌も披露され、「『ヤマト』『999』が百万枚以上の大ヒットだったので、この歌もぜひ・・・」と、「地球へ・・・』の話題は尽きません。ゴールデン・ウィークの公開が楽しみですね。

April (Animage)

1: STORY

☆本格的SF 「地球へ・・・』は、その作品内容もさること ながら、アニメ化にあたっての数々の意欲的な実験に大 きな期待がよせられている。 アニメ界に新風を巻き起こ すといわれるこの作品の見どころは何かー。 原作者・ 竹宮恵子さんに徹底インタビューで答えてもらった。

原作は『マンガ少年』に4年前 から連載が始まっており、まだ連 載中のものだ。 アニメではマンガ より一歩先に、その完結へと話は 進む。

時はSD500の未来。地球は資源の枯渇、人口増大、環境汚染などで滅亡寸前に追い込まれていた。なすすべのない人類は、間そのものの改革でこの危機を乗り超えようとしていた。それは、地球から2万光年離れ人工惑星アタラクシアで、生まれてくる子どもに特殊な教育をほどこして、成人検査に合格したものだけを地球へ送り込むというものである。しかし、大脳への直接コンタクトによる成人検査は、超能力を持つ新人ミュウを生み出した。徹底した管理社会に許されざる存在”ミュウに対して、過酷な弾圧が加えられる。迫害逃れたミュウたるちは地下に潜んで、いつか地球へ帰る日のことを夢見ていたが、長のソルジャー・ブルーの寿命がつきようとしており、新たな指導者が求められていた。アタラクシアでいま”成人の日”を迎えようとしているジョミー・マーキス・シンこそその運命を担った者であった。一方、成人検査をパスした少年たちが最後の教育を受ける教育惑星E1077に、超エリート少年キース・アニアンがいた。ある日自分の出生の秘密(コンピュータの実験体)を知ったキースは、自分への絶望をミュウへの憎悪に転化する。地球へ迫るミュー船団と人類の戦いが始まった.....。

2: CHARACTER

キャラ設定には竹宮恵子さん自身が参加している。はたして原画のイメージが、どのようにキャラクターにまとめられているだろうか。原作マンガと竹宮さんのオリジナル設定、そして決定稿とを見くらべてほしい。

Jomy Marquis Shin

人工惑星アタラクシアに住む少 年。14歳の誕生日〝目覚めの日” に彼を待っていたものは…。 ソ ルジャーの遺志をついでミュウの 指導者となる。地球へむけて出発 するが、戦うよりは人類と手をつ なぐことに望みをたくしている。

Physis

若き女占い師。盲目の瞳で、 夜ごと日ごとターフルの上のカー ドを操る。ミュウたちの予言者で あり、母親から、地球の記憶をう けついでいる。彼女の卵子からキ ース・アニアンが生まれたという 奇しき関係にある。

Soldier Blue

ミュウの長。人工惑星アタラク シアの地下にひそむ、もっとも長 く生きつづけてきた指導者。いま、 3世紀にわたる寿命がつきようと し、そのすべての記憶とともにミ ュウの指導者としての地位をジ ミーにたくそうとする。

Keith Anyan

人類の指導者となるべく、E1 077教育惑星で学ぶ超エリート。 ビッグ・コンピュータ〝マザーイ ライザ”によって作られた実験体 =アンドロイドである。故郷も母 親の記憶も持たない自分の出生に 悩みつづける。

Jonah Matsuka

火星のESP検査から逃げ出し 十七歳の少年。 ミュウであるた め、突然人の心が読めたり、超能 力が働くようになってとまどう。 人間に追われているところをキー スに救われて以後、キースの友人になる。

Seki Ray Shiroe

E1077教育惑星に学ぶ秀才 の一人であるが、人類がコンピュ ータの支配体制下にあることに、 いつも反感を抱いている。キース 出生の秘密をあばく。ESP検査 に追われて、ついには惑星からの 脱出をはかるのだが......。

Tony

いまや人類にもミュウにもはじ めての母体から生まれてきたジ ミーとカリナの間の子ども。ジョ ミーのあとをついで、ミュウの長 となる立場にある。母親への愛は 深いが、人類への憎しみが強く、 心の狭いところがある。

3: MECHANICS

ミュウ側のメカに、貝型宇宙船などのユニークなスタイルのものが登場してくる のが楽しみだ。このアイデアのキッカケは、 「SF 映 画 『エイリアン』 の奇妙 な 形をした宇宙船に新鮮な印象を受けた」という竹宮恵子さんの発言であった。

ミュー側のメカ形態は貝類に統一されている。その 宇宙船の室内メカにも注目しよう。眼球を思わせるも の、血管組織状のもの、原生生物に似たものなど、 生 物細胞組織に似せたメカが続々登場。メカ機能を十分 に考えて設定されたのだ。地球側の直線的メカと好対 照。 いままでアニメの主流をしめていたヤマト系列の 軍艦や飛行船タイプとはちょっと違った味がある。

4: CAST

異色のキャスティングである。おもだったところには、声の出演ははじめてという俳優が配置され、ワキをベテラン人気声優でかためるという形になている。いままでの声優さんにはなっかったプラスαを期待してのキャスティングだという。俳優としては大変な実力と魅力を備えた彼ら、彼女たちの活躍に注目しよう。

Junichi Inoue

はじめてのアテレコで、 かも主役。 もうビックリ。必 死になっています。台本はボ ロボロになるまで読み込もう と思っています。

Taro Shigaki

ぼくはこの作品が好きなん です。 ソルジャーが早く死ん じゃうのが残念といえば残念 なんです。消えていく悲しさ、 無念さ、怒りを表現したい。

Masaya Oki

原作を読んで変な先入観を 持つよりは、動く絵を実際に 見て、新鮮な気持ちでアタッ クしようと思っています。 が んばります。

Hiroko Yakushimaru

ジョナ・マッカ? 男の子 でしょ。絵をはじめて見たと き、自分の声では合わないん じゃないか思ったので、いま とても不安です。

Kumiko Akiyoshi

「地球へ・・・」 の登場人物はだ れもが孤独。その淋しい心の 声と美しいフィシスの姿を借 て演る、ということがいま 私をとてもふるわせています。

Toru Furuya

いままで自分でプロデュー スしたイベントで「地球へ・・・」 「風と木の詩」を演ったく らいで、竹宮先生の作品が大 好き。もう、うれしくて。

5: PUBLICITY

広告宣伝に投下されるお金は1億5000万円。「銀河鉄 道999」の1億3000万円をしのぐ。その方法には新 しい感性(テラの花キャンペーン後記)やファン参加 声優コSFアニメの世界 「大宇宙の旅」 竹宮恵子「地球へ・・・」から 広大なスペースを利用して の大展示。 各コーナーをまわ るうちに宇宙体験〟を味わ える構成になっている。 とく に〈エデュケーショナルステ ーション1077基地〉は、 おおいかぶさるような巨大な 教育ステーション模型と、か らだをふるわす電子音響が入 場者を圧倒するだろう。 愛知県・日本モンキーパー ク催事場で、3月8日から 6月15日日まで、100日間 ンテスト)など、いままでにないものが発表されている。

SFアニメの世界 「大宇宙の旅」 竹宮恵子「地球へ・・・」から

広大なスペースを利用して の大展示。 各コーナーをまわ るうちに宇宙体験〟を味わ える構成になっている。 とく に〈エデュケーショナルステ ーション1077基地〉は、 おおいかぶさるような巨大な 教育ステーション模型と、か らだをふるわす電子音響が入 場者を圧倒するだろう。 愛知県・日本モンキーパー ク催事場で、3月8日から 6月15日日まで、100日間 のロングラン開催されている。「地球へ…」 ファンならずと もSFマニアなら一見の価値 はある。

全国縦断「地球へ・・・」 フェスティバル

「地球へ・・・」の原作写真展、 映画の抜すい上映、〝なきネズ ミ〟のテレパシーコーナー、 声の出演者による舞台劇、ダ ・カーポの歌、そして竹宮恵 子さんのサイン会……………。盛り だくさんの「地球へ・・・」 フェ スティバル"が全国を縦断! スタートは3月20日木から の1週間。 東京・渋谷西武デ パート。その後全国を回って4月12日(東京・中野サンプ ラザで幕となる。 この最終日 は主題歌コンテスト本選会も 兼ねての盛大なものとなる。 詳細の問い合せは東映アニ メファンクラブ各支部へ。

テラの花キャンペーン

全国のファンにテラの花 の種〟が20万袋配布される。 雪のなかに「テラ」の花が 美しく咲く・・・・・。 映画のラス トシーンだ。人間が住む星は この地球しかないのである。 日本各地にテラの花を 咲かせようというキャンペー ン。上映館やファンクラブ、 各種ルートを通して、みなさ んの手元に種が届く。

Interview with Keiko Takemiya

原作と同じセリフは映画にはあまり出てこない

Q. 竹宮さんが4年もかけて描い ている作品が2時間の映画になり ます。まず、ストーリー展開に、 どのような変化が出ますか。

Takemiya. 私が描くとき、こまかなエピソードで示唆しながら話を進めていくことが多いのです。そして、過去へもどったり、未来へとんだり、ときには長いセリフも使います。ですが、監督さんの意向はナレ・ションを使わずひとつのカットを長くして時間的な流れを大事にしょうということなのです。ですから、映画では印象を強くするめに強烈なセリフを随所に使う方法をとってありますね。マンガと同じセリフはあんまり出てこないようです

Q. キャラの設定には、竹宮さん も参加されているのに、アニメの キャラクターはマンガとはかなり 違った印象を受けるのですが。

Takemiya. そうですか? それは単に線の 違いだけから ものだと思う ですよ。ただ、マンガは気まぐれ に描いてますから(笑)。表情が定 まらなくて、不安定なんですね。 です ら、ひとつのキャラにもみ ぞれ違ったイメージを のかもしれません。

作画家泣かせの
微妙なまゆ毛ライン


Q. 具体的に各キャラクターを見 ていきます。キースの顔つきが年 齢によって変化していく。その描 き分けのポイントはどこでしょう。



Takemiya. 目ですね。瞳(目の玉)が小さく なり、 まゆ毛と目の間隔が狭くな ほおの形もタマゴ型から四角 なっていきます。全体として最 初は純粋な印象、しだいに硬い表 情が外側にあらわれてくるように します。

Q. ジョミー、ソルジャー、キー スの区別を、竹宮さんの設定書で はそれぞれ丸型、四角、タマゴ型 と指示されていますね。

Takemiya. ええ、ほかに目と鼻と口のバラ ンスも違いますが。美男子の場合、 鼻や口の形をそう変えられないの で, 目の形で変えていきます。

Q. とくに、ジョミーとソルジャ ーの描き分けはどうですか?

Takemiya. ジョミーはハッキリした印象で まゆ毛が上へカーブ。ソルジャー はちょっと寄せて真っすぐと。

Q. 非常に微妙なところで、作画 家泣かせですね(笑)。

Takemiya. ええ、こまかくスッとカーブを 描く線がむずかしいって作監の方 がいってらっしゃいました(笑)。ええ、こまかくスッとカーブを 描く線がむずかしいって作監の方 がいってらっしゃいました(笑)。 いままでのアニメの主人公のまゆ 毛とはずいぶん違うって。マンガではの目なかも、ソルジ ャーは白っぽい三重丸、ジョミー には放射線を入れて区別していた のですが、映画では色で区別して あります。

マンガの世界の色彩は
白っぽいイメージだった


Q. その色彩についての感想は?

Takemiya. 私がマンガを描きながら抱いて いたイメージは、背景が暗くて、 人物は白っぽい。そこに薄く紫や ブルーがついていて妖精っぽいも のでした。 でも、たとえばフィシスの髪は マンガではプラチナブロンドでし たのに、秋吉久美子さんはグリー ンを想像してたとおっしゃったん ですね。人それぞれの ージが ある すから 映画はまた映画 の色彩があっていいと思うんです。

Q. ほかに、アニメ化にあたって 竹宮さんがこだわったところは?

Takemiya. 体つき、筋肉のつき方ですね。 体つきに性格があらわれていると 思いますから。たとえばトォニィ が子どものころから大人になって いく変化。大人になって、ヒジや ヒザのくびれをはっきり出すよう にしました。 それと、各キャラクターが髪の 毛に手をやったり、目を伏せがち であるとかのくせやポーズが映画 にも表現されるといいですね。

私は花を育てるのが
幼いころから好きだった


Q. さて、映画のカメラアングル は常に人間の目の位置にすえてい く方針だそうですが。

Takemiya. 私自身はアングルを変えるのが 好きで、ロングにしたり角度を変 えたり。ときには絵を省略するた めにアングルを変えたりと、ひど いこともしていますが(笑)。映画 は、背景までが動画になるそうで すから大変でしょうね。

Q. 今回は宣伝がまたスゴイ。「テ ラの花キャンペーン」は、作品の テーマにもそってるわけですね。

Takemiya. それと、私自身、幼いころから 花を育てることが好きで、種を植 えたり球根を育てたり、よくやっ たんです。種の使命をまっとうさ せて、つぼみから花が咲いていく。 かわい ですよね。そういう楽し みが、いまは欠如しているみたい に思うんです。

Q. 全国縦断キャンペーンで、フ ァンの人たちとの交歓もあります ね。

Takemiya. これまで自分一人で地方へ行く ことがなかなかできなかったので いい機会だと思っています。 松本零士さんも回られましたし、 とにかく、みなさんにお会いでき るのを楽しみにしています。

April (The Anime)

ゴールデン・ウィークの封切りに向けて、SF超大作「地球へ…」の制作は、快調に進行しています。実写的手法を取り入れた斬新な映像壮大なスケールのストーリー、特殊技法による全く新しいタッチの宇宙空間、そして、SFを超えたロマンと幻想溢れるメカ・デザインなど、「地球へ・・・」には楽しみな話題が豊富に揃っています。次第に完成に近づくに従って、作品の絵柄も着々と出き上がって行きます。そこで今回は、最近、新しく出来上がった絵柄の数々を、誌上初公開!さらに、作品の大きな見どころとなる場面を、シナリオから抜粋してお見せしましょう。「地球へ…」への期待が、一層ふくらむことでしょう!

人物の動きに実在感を

この作品には新しい試みが一杯。その一つは カット数を少なくしたことです。 アニメの場合 は、実写に比べて総カット数が大変多いのが常 識で、例えば『銀河鉄道999』は1600カ ットもありました。でも「地球へ…』の場合は 650カット。ワンカットが非常に長いのです。 実写の経験をアニメに生かす恩地監督の演出で す。人物の動きに実在感を出すため、アニメー ターの作業も大変です。

カメラの位置を目の高さに

長回しになれば、背景に手を抜くわけにもい きません。しかも、自然な画像を創り出すため に、カメラは目の高さからのアングル......。 今までのアニメは、人物の顔がアップになる と仰ぎ見るようなアングルになり、背景は天 井になることが多く、作画が楽でした。 でも、 カメラが目の高さでは、背景には当然人物やメ カ類も入ってきますね。だからなおさら、細か い描写がアニメーターに要求されるわけです。

原作者・竹宮恵 子さんからの熱 いメッセージ!

「地球へ…』は、宇宙の果てで生まれた新し い人類 (ミュウ)が、まだ見ぬ地球に憧れ、 人 間たちに迫害されながらも、故郷へ帰ることを 願う、という物語です。 しかし、ここで描かれる地球は、決して美し 緑の地球ではありません。 すでに枯渇した大 地と汚れた海があるだけです。 人間たちは自ら 地球を汚してしまい、地下での生活を余儀なく されています。 しかも、自分たちの管理を機械 に任さねばならなくなっているのです。 こんな地球を、 それでも愛し憧れ、求め続け ミュウたちのせつない願い......。 「どんなに科学が発達しても、人間は地球から 離れることのできない生命なのだ」 彼らの思いを描く時、私は、強く感じます。 アンモニアの大気や、硫酸の海ではなく、 酸素 と水と光が人々をやさしく包んでいる。 そんな ことを、私達は忘れてしまってはいないでしょ うか。 人間以上の能力を持つミュウは、自分自身を 見失った人間への警告です。 傷つくことを怖れ て、利己主義に徹した人間よりも、ずっと暖か な心を交わすミュウたち。 読心力は私たちにと っても最大の憧れでした。 全ての人が、互いの気持ちを理解しあって行 動できたら! 隣どうしが何も言わずに手を握りあえたら! 若い人なら、一度はそんな思いにかられて泣 いたことがあるでしょう。 そう、 ミュウは即ち若者たちです。 新しい考えを持ち、意気に燃え、まだ見ぬ理想の地 球を追い求める青春。そして旧人類=人間は現在の大人たち。 保守の思想と権力を持ってい ます。故に、ミュウと人間との戦いに結末はあ りません。あったとしても、それは単に物語の 結末でしょう。 私は、この物語の中に、もっと別なものを見 つけてほしい。生きるということは、エネルギ 1の爆発だということ、だからいつでも、戦い がつきものだということ。この宇宙にある全て のものに平等に、生命と生きる権利が与えられ てあることだから、地球の、もの言わぬ草や 土に至るまでを愛さなければいけないこと、な どなど......。 『地球へ…』は、そんなわけで、とてもたく さんの意味がこめられています。その中から、 いくつの意味を見出すかは、見てくださった人 それぞれに違うはず。 できるだけたくさんのメッセージを受けとっ てください。できるだけ多くの疑問を持ってく ださい。 考えることこそが、若いエネルギーの 起爆剤だと思うのです。 ラスト近く、揺れ動く地球に、地球自身 の生命を感じとってもらえたら、他に言うこと はありません。 ああ、宇宙からの青い地球が見たい!! 竹宮恵子さんの『地球へ…』に情熱が、 このメッセージから伝わってきますね。 竹宮さんは、ふつう原作者がタッチしないキ ャラクター設定にも参加しています。 竹宮さん自身の描いたジョミー他主要人物たちです。

April-May (Animec)

ケーコタンの「地球へ・・・・・・」が、劇場用アニメになるよ!なんていっても誰もビックリしないでしょうね。(これだから隔月刊はツライ/)ともかくこの映画、原作を読んだ人も、読まない人も、共に楽しめる作品に仕上っています。カメラアングルなど本物の映画と、何ら変わっておらず、映画をアニメーションで制作したといったところでしょうか。原作とは似ても似つかぬ映画というのは良くある話ですが、「地球へ」に関してはそんなことはありません。かといって原作をそのまま映画にしただけのつまらない作品でもなく、見終った後で、観てよかったなあ…と思える情報を、お伝えする特集をアニメーション大作です。次号で公開直前の最後の「地球へ・・・・」組みますので、お楽しみに。

Interview with Keiko Takemiya

興味半分、心配半分、ですね。

Q. アニメーションは映像文化として定 着したと思いますか?

Takemiya. ようやく定着しはじめたという気がし ます。今、アニメを“見る”ことに夢中にな っている若いファンが二十代、三十代になっ て描く"プロになった時、アニメをどう自 己表現するか、期待してます。

Q. 以前から、ご自分のキャラクターが 動くのを見たいとおっしゃっていたようです が、〝地球へ…"がアニメ化される今の心境を..。

Takemiya. アニメの地球へ…"と雑誌の地球 へ…〟は全く別の表現手段による別作品です から、私自身は、雑誌の〝地球へ…〟が充実 した内容になるよう、全力投球しています。 アニメの"地球へ…”は映画スタッフのセ ンスで作られるものですから、私の世界が他 者の手でどう変わるか、興味半分、心配半分 というところです。

Q. 印刷マンガである”地球へ…”がア ニメ化された場合の、メリットとデメリット は?

Takemiya. メリットはなんといっても、受け手の 幅の増大が期待できることです。私の”地球 へ…〟はマニア向きな作品で、なかなか小、 中学生や、SF嫌いの少女たちには読んでも らえません。アニメになれば、幼い人たちに よりわかりやすい形で、私の世界を伝えられ そうだ、という点に魅力を感じました。 デメリットは、細やかな演出ができないこ と、時間的制約があること。

Q. 地球へ・・・"のアニメ化の作業には ノータッチですか? キャラクター設定のチ ェックぐらいはなさいますか?

Takemiya. 脚本とキャラクター設定以外は、ほと んどノータッチです。脚本もラストの部分は 昨年の、まだ早い時期に口であら筋を伝えた だけなので、雑誌とアニメでは、 story は同 じでも演出が全く違うはずです。

Q. ストーリーは原作から離れるのでし ょうか?

Takemiya. 離れて当然です。私がまる三年かけて 描き続けたものを、二時間で語るのですから。

Q. 声を決めるのは、かなり難しいので はないかと思うのですが、あのキャラならこ の人と思われる人がいますか?

Takemiya. 声優さんについては、ノータッチでお りましたら、監督さんの意向で、主役は俳優 さんがやることになりました。おもしろい試 みと思っています。

細やかな演出が女にはできるの

Q. 少年マンガでは実にさまざまなタイ プがアニメ化されていますが、少女向けとな ると、大ヒットした”キャンディキャンデ んが…!? "にしろ、オーソドックスなものがほとん どという感じがあります。マンガ界の方向と まで言われた新しいタイプの少女マンガのア ニメ化の可能性については、どう思われます か? スペシャル番組ならば、という気もす るのですが。

Takemiya. 良いスタッフと情熱さえあれば、充分 可能と思います。

Q. ハイカラさん・・・"などは、結局、 スタッフの感性がついていききれなかった面 があるように思うのですが・・・。

Takemiya. ハイカラさん"を見ておりませぬ ゆえ、お答えできません。

Q. もっと演出などにも女性が進出すべ きではないでしょうか?

Takemiya. Yes,当然です。男にはできない、細や かな演出ができます。

Q. 少年誌に発表されたSFものとは言 え竹宮作品のアニメ化というのは、ひとつの エポックだと思うのですが・・・。

Takemiya. それほどオーバーにはとらえていませんが..!?

アニメ化されるなら"空がすき!"の方が

Q. がすき!"のアニメ化の話があ ったとうかがってますが...。

Takemiya. 私の作品がアニメ化されるなら地球 へ…”よりも“空がすき!"のほうが、あっ ていると思ってました。〝空がすき!”以外 にも、いろいろ企画されていたようですが、 実現しませんでした。

Q. 地球へ…”以外にもご自分の作品 でアニメ化されたらと思われるものがありま すか?

Takemiya. ブラボー・ラ・ネッシー"をぜひ♡

Q.では、ご自分以外のマンガで、これ が動いたらな……と思われるものがあります か?

Takemiya. よく思いますが 今、具体的に名が浮か びません。

Q. 小説などでは いかがですか?

Takemiya. 小説の映像化と いうと、どうしても、 映画"を思い浮かべ てしまって、アニメに ふさわしいといわれると...。

Q. では、アニメ は、オリジナルもので あるべきだと思われま すか?

Takemiya. オリジナルであ るべきとは言いません が、雑誌漫画をそのま まアニメ化するのは、 つまらないですね。ア ニメでなくては表現できないものを、もり込 むべきだと思います。

Q. アニメに限らず、ご自分でプロデュ ースしてみたいと思われるものがなにかあり ますか?

Takemiya. 完全にプロデュースしたのはレコード が数枚ありますが、楽しかったですし、社会 勉強になりましたね。でも、私が自分の主張 を一番効果的にアピールできるのは、漫画で すね、やはり。

"ピーターパン"が好き!

Q. 今までご覧になった劇場用アニメ、 TVアニメで、特にお好きな作品があります か?

Takemiya. ディズニーの"ピーターパン〟。初期 の東映動画。チェコ、その他の実験短編アニメ。 TVアニメでは、"鉄腕アトム" "ライ ディーン""ガッチャマン" 〝機動戦士 ガンダム〟〝宇宙戦艦ヤマト"、"ルパン 三世〟〝まんが宇宙家族"などです。

Q. カリオストロの城〟はご覧になり ましたか? もし、ご覧になっておいででし たらご感想をおきかせください。

Takemiya. 残念なことに、"カリオストロの城" はまだ見ていませんが、その前の作品をTV 見て大感激しました。アニメ作品としてA 級で、これを越える作品を作るのはムズカシ イ、と思ったほどです。とにかく、すごい作 品がとび出してきましたね。

アニメを育てるのは、アニメを愛する人々です。

Q. これから、アニメーションはどのよ うに変化すると思われますか?

Takemiya. 今のアニメーションは、十年前の少女 漫画界と似ています。制作されるたくさんの 作品のおおかたは、水準以下で未完成ですが、 ときどき、キラッと個性的なものが生まれて います。少女漫画は、十年かけてこの個性的 な部分が育ちました。 アニメが良い方向に育つか否かは、アニメ 熱狂的に愛する人々が、どれだけ真剣に情 熱を燃やし、才能をはぐくんでいくか、にか かっています。 楽観論者の私は、アニメの未来をあかるい ものと期待してます。

May (Animage)

「宇宙はイマジネーションの世界」
2、3センチ大の偶然のマチエルを拡大すると・・・
「まず最初に、宇宙が舞台 ということで銀河系をぬけ たときは、どんな宇宙空間 になるんだろうという想像 があった。いままであった ものではなく”地球へ・・・ の宇宙空間を作りたい...。 SFの宇宙はアメリカでも 絵かきのイマジネーション の産物ですよね。 で、具体的にはああでも ない、こうでもないとみん なで勝手なイメージで描い 背景に、偶然にできたマ チエル(肌あい、色むら、絵 の具のはじけなど)を拡大す るといった方法をとった。 せいぜい2~3センチ大のものを写 真をとって数100倍 にひきのばすんで す(上と右の写真の背景に注目)。そ うすると、実に効果的な宇宙空間が できあがったわけ。これはコロンブ スの卵でしたね。 できあがってみると、なぁんだと 思われそうだが、そこにいたるまで は、大変な苦労がありましてね (この、2~3センチ大の偶然のマチ エルを写真に撮り拡大する、という方 法は、昨年10月ごろからずっと外部に は秘密になっていた)

「いまの科学からはでてこないメカの発想」
人間側とミュー側のメカを描きわける
「メカも美術グループの産物なの ですが、まず考えたのは、200 0年も先のメカというのは、既成 の科学からおしはかっていったも のではないだろうということ。 結 局、いまの科学を否定し、飛びそ うもないものでも飛ぶだろうし、 また飛ばしちゃえばいい、という ことになった」 ーそれにしてもミュー側の乗り 物はトッピですね? 「ミュー側のメカは、家でこたつ に入っていて、部屋にかざってあ る貝ガラが、あまりに神秘的でフ ァンタジックだったので使ってみ たくなった」 ーミュー側と人間側の乗り物が 一目で区別できますね。 「話自体が大変むずかしいもので すから、メカはなるべくパターン 化したんです。つまり、ミュー側は 曲線が多く、幻想的。 管理社会下に ある人間側は直線的、合理的で、し かも、ものものしく息がつまりそう な感じを出して見た。色も、ミュー 側は透明感を大事にし、ブルーや緑 などを多くしている。人間側はリア ルな、 赤黄茶色などを配してみた。 ただし、宇宙空間の話もそうだが、 こういうものは、アイディア、思い つきだけではだめ。 スー っとその世界に入れるよ うな伏線が必要だし、前 後が大事で、またそうい う実在感を出すような方 法をとっています。 とにかく"未来" のい ろんなフォルムの舞台に、 いまのメカがあわなくな ってきましたね」

発想は飛躍していても力のある映像にしたい」

Interview with Isamu Tsuchida

土田勇美術監督ー長靴をはいた猫、どうぶつ宝島、長ぐつをはいた猫・80日間世界一周、 龍の子太郎などの美術を担当。SF初体験。

Q. SFがはじめてでは資料などだいぶお読みに?

Tsuchida.「それ これが、ぜんぜん。いまさら資料 見ても遅いですよ。あくまでイメー 勝負です。 “龍の子太郎"のよ うな昔の世界も地球へ..."のよう 未来の世界。 想像の世界という ことにおいては同じ。ようするに、 いかにもっともらしく描く かということですね。でも、 こうして 話を聞いて くれるのはありがたいです む。以前は単なる背景だけ でしたから…..。一つの絵、 一つの映像文化として定 着しつつあるということ でしょうね」

Q. 背景の枚数が600枚と いうのはふつうの作品に くらべて少ないですね。

Tsuchida.「そう、強というとこ ろ。でも、それだけ密度 はでています。きょう、 ラッシュを一部見たんで すけど、発想は飛躍して いても絵に説得力があり 耐えられる画面になっ いると自分では思ってい ます。力のある映像にし たいですね」

Q. いくつか、いままで にない宇宙空間がでてく ると聞きましたが.......

Tsuchida.「ええ、特殊な宇宙空間 が数種類でてきます。そ うじゃないと、ナスカから地球へ、 長いこと旅した感じがつかめない」

Q. たとえば?

Tsuchida.「口ではちょっと説明できないけど、 ホタルがとんでいるような宇宙空間 などが......。 ふつうの銀河系もでてきます。」

Q. コンピューターも、ちょっと変 わっていますね。

Tsuchida.「コンピューターが人間を支配する 時代、そういうときのコンピュータ ーはどういうものになるんだろう? という最初のカベがあった。 う、生命をもっているんじゃな いだろうか....そうするといま までの機械的なものでは合わな い。メカだろうけど生きもの・・・。 ここまできて、完璧なコンピュ ーターというのは、人間のなか にあるだろうと、恩地監督のサジェ ッションがあった。つまり、脳・目 ・耳などだ。そうして生まれたのが この(写真上) コンピュータ」

Q. あと、この映画の見どころを...。

Tsuchida.「ミューの母船が光を放ち、旅立つ ところなど、動画1000枚をつか い、じつに壮大な感じ。そのとき、 旅立ちの曲がかかる ほかにもたくさんあります」

Q. 思念波の処理は?

Tsuchida.「不可思議な画面。攪乱さ れているだけだから、客観 的に見ることはあり得ない。 感じさせられている側のカ メラショット中心となる。 この映画は“驚き”が随所に 出てきます。演出的にも映 像的にも、あれっ?と思 うような場面がいくつもあ と思う」

Q. まったく、はじめて出 会ったスタッフの印象は?

Tsuchida.「須田正巳作画監督の絵は、華麗で はないけど、底力のあるしっかり 絵だと思う。恩地監督はアニメを 大きくとらえ、オレならこうすると いう要求を現実的妥協なしに出して きた。大変苦しんだが、やってみて、 何だできるじゃないか、ということ が多かった。 非常に得るところも多 く、とにかく、知らない同士の人間 関係の緊張感を乗りこえたときにで てくるものを信じてやってきたつも りです。単なる思いつきでは絵をか きたくないし、目新しいものをとく においかけていたわけでもありませ ん。結論をいえば、不可思議が実在 感をもってくれれば成功だと思って います。最後に、私がこうして話し ているが、あくまで美術スタッフ代 表ということで、みんなの総結集で でき上っている。とくに、背景担当 サブチーフの松本健治さんは、私が ふんい気で伝えたことを具体的に映 像化してくれた。ほかの美術スタッ フ5名も、じつに濃密に仕上げてく れたことに感謝しています」 (その他、背景とキャラクターを遊離 させない方法=くわしく記せないのが 残念など、この映画では、さまざま な試みがなされている。そういった面 からも期待作といえよう)

May (The Anime)

ミュウの宇宙船が人気「地球へ・・・」 フェス! 春のアニメ・フェスティバルの一環として、「地球へ…」フェスティバルが盛大に行われました。去る3月20日から一週間、東京・渋谷西武デパートのB館地下2階にあるギャラリーで開催されたこの催しには、竹宮ファン、アニメファンが多勢つめかけ、大盛況でした。なにしろ話題こと欠かない「地球へ・・・」。これまで本誌で何度も特集して来たように、作品内容、制作内容の豊富な話題もさることながら、公開前のPR、キャンペーン、催しなどの番外篇の演出効果も抜群で、全国のファンの間で、かなりの「地球へ・・・」熱が高まっているようです。さて、全国縦断の皮切りとして渋谷で行なわれたこの「地球へ・・・」エスティバルには、展示会、サイン会など楽しい催しがいっぱいでした。まずは、原作者・竹宮恵子さんのサイン会。竹宮ファンが殺到したのは言うまでもないこと。竹宮さんとファンとの楽しい交歓風景なども見られました。また、主題歌を歌うダ・カーポの歌やサイン会もあって、アニメファンのみならず、多数のミュージックファンもつめかけたようで、これま相当な賑わい振り。勿論、ダ・カーポのナマの歌声による主題歌が聞け、主題歌レコード即売もあって、かなりの売れ行き、この分だと歌のヒットは間違いなさそう。会場には、入口の前の地下へ降りる階段のあたりから、壁にズラリと作品の大きなスチール・パネルや原作の絵をパネル写真にしたものなどが飾られて、胸がときめく。そして会場のメインは"SF世界"のコーナー。いかにもSF的な宇宙空間にいるような気分になって、メカの模型などでロマンと冒険の世界を実体験出来るわけだが、なんといっても子供たちに大モテ。中でも、ミュウのあの風変わり宇宙船が人気のマトだったようです。販売コーナーでは、レコードの他、「地球へ…」の名場面を集めスチール写真や、ジヨミーやソルジャーブルーなど登場人物の絵のついた!ート、筆入れ等のキャラクター商品も各種売られていました。それに竹宮恵子さんの後援会の会誌までも揃えてあったのには驚き。竹宮さんの人気って凄いんですねえ、と思わず感心します。おまけに「999」のLP販売コーナーもありましたよ。尚、この「地球へ…」フェスティバルは盛況のうちに全国縦断し、最後は4月12日・東京・中野サンプラで、最後の幕を降ろします。

仕上げの追い込みに
活気づくスタジオ内


「地球へ・・・」の劇場封切りが間近に迫った、ここ東映動画スタジオ。その制作現場は作品の完成に向けてラスト・スパート。なんとなくあわただしい雰囲気の中で、各々の持ち場をテキパキとこなして行くスタッフの仕事振りにも、一段と拍車がかかって来ました。そんな現場のスタッフたちを激励しようと、このたび「地球へ…・」の原作者、竹宮恵子さんが、東京・練馬区大泉にある東映動画のスタジオを訪問しました。「地球へ・・・」のアニメ化の作業が始まってから、竹宮さん御自身が正式に制作現場を訪ねたのは、今回が初めてということでした。池袋から西武線に乗って約15分、大泉学園駅で降り、そこから7、8分歩いた閑静な一角に、東映動画スタジオがあります。東映動画といえば、これまで数々の名作アニメーションを送り出して来た、日本のディズニーともいわれる伝統あるスタジオです。その東映が77~78年の「宇宙戦艦ヤマト」そして昨年の「銀河鉄道999」に続く、劇場用SFアニメ超大作として、持てる力をフルに発揮し、投入しているのがこの「地球へ・・・」なのです。しかもこれが、竹宮さんの漫画作品の中で初めてアニメ化される作品だということも、大きな話題となっているのです。そんなわけで竹宮さんも、自らキャラクター設定に参加するなど、企画段階から積極的に協力し、今回のアニメ化に大いに期待を寄せているようです。そこでいよいよ完成間近となった「地球へ・・・」の制作スタッフへの励ましも兼ねて、自分の作品のアニメ化がどんな作業過程の中で進められているのかを見学するため、今度のスタジオ訪問となったわけです。まず、入口を入った竹宮さんの顔から、思わず笑みがこぼれます。廊下の突き当たりの壁に貼られていたのは「地球へ…」の大きなポスターでした。それも竹宮さん自身がアニメ化のポスター用に描き下ろしたものです。(その絵柄は本誌3月号の地球へ・・・"特集の見出しになっていますよ。もし手もとにあたら見て下さい。とってもステキな絵です。)廊下を真っすぐ歩いて行く竹宮さんは、突き当たりの企画室へ入ります。そこでニコニコ微笑みながら竹宮さんを迎えてくれたのが、「地球へ…」のプロデューサー・田宮武さんです。この企画室の中の大きな本棚には、週刊誌、月刊誌、単行本など漫画雑誌がギッシリ。原作の検討をするためです。おそらく「地球へ…」のアニメ化案でも、この部屋で田宮さんら制作担当者の激論が交わされたことでしょう。軽い挨拶を交わした後、快く案内役を買って出てくれた田宮さんに連れられ、竹宮さんは2階の制作スタジオへと上って行きます。今まで「地球へ・・・」の企画やキャラクター設定などの打ち合わせで、何度か東映動画に顔を出したことのある竹宮さんですが、その時は主に下の階の制作本部に足を運んだだけで、今回初めて自分の作品がアニメ化されて行く全行程を見ることになるのだそうです。田宮さんの後について急な階段を上り、2階へ上がると、各ブロックごとに仕切られたコーナーに分れており、最初に田宮さんに案内されたのは原動画のコーナー。このコーナーは、アニメの制作過程を見る上では一番面白いところ。実際にアニメの絵を描いて行くところですから。しかし、端から見るのは楽しいけれど、何枚もの細かい絵を描いているスタッフにとっては、まさに重労働。しかし、最後の追い込みの段階ではそんなことは言ってられない。この作品は、これまでのアニメーションを超えた大作にすることを狙っているだけに、それを描く側の労力は並大抵のものではないのは当然。普通のアニメの場合よりいくらか増員されているとはいっても、どことなくあわただしさも感じられます。また、その様子は、追い込みにかかったときならではの活気とも感じられます。しかし、竹宮さんが見えたことに気づくと、皆さんにこやかな笑顔で迎えてくれます。やはり自分たちの作っている作品の原作者が、スタジオに来るというのは嬉しいものなのでしょう。竹宮さんもまた、これだけの人たちが自分の漫画をアニメ化する作業をやってくれているのを、初めて目の当りに見た瞬間・・・・・・ということになりますね。出来上がった動画の1枚や机の上の描きかけの絵を見ては、また別の机の絵にも視線を落とす・・・というように、いたる所を熱心に見ながら、田宮さんの説明に耳を傾ける竹宮さんの姿には、どこかしら嬉しさが溢れているようにも感じられます。自分の漫画に描いたキャラクターが、何百枚、何千枚もの動画になって、やがてスクリーンで動き始める。そんな楽しみを、竹宮さんは実感したのではないでしょうか。続いて田宮さんの案内で彩色のコーナーへ。ここでも、竹宮さんが来られたことに大喜び・・・・・・ここでもまた彩色作業を熱心に見竹宮さん。とくに色を塗られたセル画というのは綺麗なものです。それを見ると、やはり原作の絵とは大部違うようです。似せようとしても、アニメの立体構図の中で変わって来てしまうものなんですね。

興味を持った美術コーナーで練の筆の早さにビックリ!

次に訪れたのは美術コーナー。こ こで背景画が描かれます。 やはり絵画的な絵を描く仕事とし て、竹宮さんが一番興味を持ったの は、この美術ではないでしょうか。 この部屋は、前の原動画や彩色コ ーナーとは少し雰囲気が異っていま す。どちらかというと、この部屋の 人たちはもくもくと仕事をしている、 といった感じがあります。そんな雰 囲気の中で、背景画を描いている筆 先を興味深げに見つめています。 この背景というのは、かなり熟練 を要する仕事ですが、この部屋のス タッフはいかにもベテラン、という 感じです。テキパキと鮮やかに色を 塗って行く筆の運びの早さに、さす がの竹宮さんもビックリ、とばかり 目を丸くしていました。 東映の場合、「ヤマト」や「999」 などが代表作となるように、宇宙を 舞台にした背景に定評のあるところ ですが、今回の「地球へ…」では、 その壮大なストーリーを支える背景 のスケール感と美しさも、見どころ となるでしょう。 また東映動画の場合、そうしたSF 的なものが多い関係から、美術室の 中に特殊効果コーナーが設けられて います。つまり爆発シーンなどに迫 力を出すため、エアブラシでシャ ドウを入れたり、光の微妙な輝きを 表現するのが、このコーナーの仕事 です。竹宮さんは、その微妙な絵の ニュアンスにも大いに興味があった ようで......。 「地球へ・・・」 も大いに お世話になるコーナーですね。 こうしてスタジオの中を見終わっ 竹宮さんは、田宮さんと階下の制 作本部へ。そこに演出の笠井由勝さ ん、作画監督の須田正己さんらメイ ンスタッフがおり、しばし雑談・・・・・・。 「地球へ・・・」 の公開を一番心待ちに しているのは竹宮さん自身ではない でしょうか。

May (Monthly OUT)

静かに、激しくミューたちは燃える

「地球へ・・・」 をアニメ化したいという計画をきかされ た時、 竹宮さんは、「まさか!! こんな面倒くさい話を」 と思ったそうである。 確かに、旧人類対新人類の歴史 をめぐる戦い、 という図式はあるけれど、その面白さ は(当然のことだが)いわゆる竹宮恵子の世界にある。

アタラクシアを離れて・・・

いくらかは、少年向けのS Fものとして、そちらに力を さいているにしても、だ。
新しい「地球へ..」を
アニメスタッフたちの苦 労もまたこの点にあったらし い。その結果はどうなるか? どうやら竹宮恵子の世界から 離れることになるようだが、 まあ、期待しよう。難産の子 は丈夫に育つ”って言うでし ょうが。 どうも、トッテッケタよう な言い方は人をシラけさせる が、たとえばワンカットが長 く、カメラが実写のようにク ルクル動き廻る、という話に はちょっと興奮させられるの だ。何故なら、最近の日本映 画ではカメラがあまり動いて はいないのだ。動く時はたい てい手持ちブレブレだ。かつ ての新しい手法が、金のなさ に起因する手抜きの言いわけ になっている。(カメラをなめ らかに動かすには移動レール や、クレーンが必要だから) そして手抜きは、チリも積も って山となり、画面から生気 を奪ってしまう。だから、部 分的であったが、ヤマトにし 999にしろ、カメラの動 きが忘れられかけていた映画

地球へ迫るミュウの船団

的興奮を呼び起こしてくれた ことを思い出すのである。(う 映画ファンの地が出てし まった!!)

トオニイはジョミーの息子!!

ストーリー的にはトォニイ がジョミーとカリーナの間の 子になっていることを除き、 大きな変更はないようだ。た だし原作では第一部、第二部 ...とハッキリとそれぞれの 「テーマを中心に分かれている のに対し、混ぜこぜになって 話が進む。 肝心のラストは、 例によって伏せられているの で、全然ワカラシマヘンのじ このしち面倒くさいお話を あえてアニメ化しようという 理由は、公式的には東映動画 ファンクラブを中心にした長 編アニメにしたいまんがベス ト10〉 のアンケートで一位に なったからだそうだ。SF 少女漫画、エスパー...と、ブ ームのクロスオーバー的焦点 に立っているだけに当然だろ ちなみに第9位は「超人口 ック」である。ク、クヤシー!!

June (Animage)

Movie Premiere Report

らしく1万メートル上空の試写にも、ゆられながらの鑑賞になったが、ミュウとの戦闘シーンではタイミングよく(?)気流の乱れで飛行機が大きく揺れ、飛行機になれない女性たちは、腰をおちつけて見ていられなかったというアクシデントにみまわれた。沖縄の那覇空港に降り立った参加者は、「作品は絵もていねいに仕上げてあったわね。あの膨大な原作をよくまとめてあるなあと感心しました」(東京・小野寺さん)「神谷さんのファンなので応募しました。ジョミーとセキ・レイの声が似ているので、ジョミーをやってもらいたかった」(千葉・岡田さん)「絵がどの程度動いてるのかを、楽しみにきました。見て、映画では動きと同時に声も重要だと、特に感じました。ただ、イヤホーンからの音が悪くて残念。もう一度完成品を見にいきます」(東京・石倉由美子さん)一行は空港を後に、バスで宿泊所をかねた地球を大切にティーチ・イン”の会場、ムーン・ビーチへ。ホテルでは、ひと足先に劇場で試写を見た、約100名の青年たちの出迎えをうける。ムーン・ビーチの浜辺で予定していたティーチ・インは、あいにくの雨でホテルのホールで開催。竹宮、恩地、古谷、小山4氏にゲストの白石冬美、井上真樹夫氏をむかえてのファンとの質疑応答。ダ・カーポの歌、メッセージカード発表などのプログラムは約1時間でおこなわれた。ホールでの催しに熱くなったフアンたちは浜へ出て、たいまつをたいての記念撮影などを楽しんでいた。最後に、一夜あけての声を・・・「知らない者同士が集まって話しができてよかった。原作者や監督と会えてよかった」(井関澄子さん)「作品は未完成だったけど、友だちができたし、なによりタダで沖縄へこれたことが一番!!!」(高城佳代さん)とのことー。この試写会で特筆すべきは、ホテルの売店で売子になり、おこづかいをかせぎ、ステーキもごちそうになったというモサが、3名もいたことであった。

June (The Anime)

永遠の愛とロマンをのせて 華麗にロードショー公開中

地球の運命を賭けて、人類とミュウが対決するー壮大なテーマの中に青春の情熱と愛を謳った、超大作「地球へ・・・」は只今、劇場公開中です。竹宮恵子さんの作品として初のアニメ化であることは勿論、恩地日出夫監督が実写の手法を取り入れた斬新な映像、SFの既念を打ち破ったユニークなメカ・デザイン、異色の豪華キャスティング、そして地球のキャンペーン”など、これほど数多くの話題を振りまいたアニメ映画は、他に例を見ないのではないでしょうか。月刊「マンガ少年」に連載された原作も、封切り直前に完結され、映画も予想にたがわず、絶大な拍手をもってファンに迎えられました。地球への人間への限りない愛を込めて、永遠の青春像ジョミーが活躍する「地球へ…・・・ー単なるSFを超えた華麗なロマンガ。スクリーンから溢れます。

「雨の徳島が好き・・・」
懐かしの街並や母校をそぞろ歩き


「地球へ...」の映画化で一躍脚光を浴びた原作者の竹宮恵子さんは、全国を縦断する「地球へ…」キャンペーンで、生まれ故郷の徳島を8年ぶりに訪れました。3月28日の夜、岡山のキャンペーンを終えた竹宮さんは飛行機で徳島入り。空港には100人程のファンがつめかけ、「竹宮恵子先生お帰り「なさい」というノボリを掲げての盛大な出迎えに、ちょっぴりテレながらも嬉しそうな笑顔で応えます。徳島は竹宮さんが大学時代まで過ごした思い出深い土地。帰省のひとつの目的は、眉山の下にある滝の焼餅を食べること。竹宮さんの話によあんこ入りで焼きたてが最高においしいとのことでしたが、今回はスケジュールの都合で眉山の方ま足を伸ばせず、いかにも残念そう。その夜は市内のホテルに泊った竹宮さんは、翌29日、キャンペーンまでの空き時間を利用して、懐しい徳島の街並みを散歩しました。あいに雨降りでしたが、竹宮さんにとっては「私の感じでは徳島は埃っぽいので、雨の徳島が好き」なのだそうです。東新町の商店街を歩く竹宮さんは、昔ながらのマルシン、栄屋などのデパートの建物を見上げて、いかにも懐しそう。学生時代のいきつけだっ喫茶店を探したのですが、残念ながら見当たりませんでした。8年の間に商店街の軒並みも大部変わってしまったようです。次いで歩いたのは、寺町という古風な家並みが印象的な静かな町。意外や意外、竹宮さんは和風っぽい感じの方が好きだとか。そういえば、食べ物も和風好みのようです。やがて新町橋のたもとに着きます。この橋は阿波踊りの名所として知られ、竹宮さんも子供の頃はよく阿波躍りの群れに加わった思い出があるそうです。散歩の後は、母校・徳島大学を訪れました。母校の校舎を眺めながら、竹宮さんは我々取材班に、学生の頃の思い出をいろいろ語ってくれまし大学時代の竹宮さんは、クラブ活動で児童文化研究部に所属していとのこと。大学祭や新入生歓迎コンパなどでは積極的にはしゃぐ方で、よく友達と連れだってお酒を飲んだとか。そして毎週土曜になるとダンスパーティーに顔を出して、よく踊ったそうです。当時の踊りはゴーゴこれまたちょっと意外な感じですね。かなり青春を自由に謳歌したようです。校門の前にたたずむ竹宮さんは、そんな青春時代の楽しさ思い起こしているように見受けられます。続いて大学のすぐ近くにある城山公園を少しブラついた後、「地球へ・・・」キャンペーンのため、駅前の野村証券ホールの会場へ。大勢の竹宮ファン、「地球へ・・・」ファンらに囲まれた竹宮さんは、サイン会やインタビューなどに答え、ファンとの楽しい集いのひとときを過ごしました。その夜8時発の大阪行きの飛行機に乗った竹宮さんは、8年ぶりの故郷を後にしました。

高度一万メートルの上空で雄大で豪華な試写会が・・・

この「地球へ・・・」の第1回試写会が4月20日、沖縄行き全日空トライスター内で行なわれました。日本でも初めて、高度一〇、〇〇〇メートルの空の上での、スカイ・スクリーンによる試写会は、いかにも「地球へ・・・」にぴったりな計画で、招待された二〇〇名のファンも大感激でした。この企画にジ・アニメの記者も同行したので、その模様をお知らせいたしましょう。午後5時、搭乗タラップの下に原作者の竹宮恵子さんと、主題歌を歌っているダ・カーポの2人が、それぞれ、スチュワーデスや、機長姿になってみんなを出迎えます。竹宮さんのどこかテレくさそうな顔がすごく印象的。5時30分にテイクオフ。雨雲の中をつきぬけ、高度一〇、〇〇〇メートルの水平飛行に移ると、いよいよ試写の開始です。全員、イヤホンを耳に期待の超大作アニメ「地球へ・・・」がどう出来上ったのか、興味と期待で機内は一瞬シーンとなります。約2時間、ジョミィー、キース、トォニィ、などの印象が強烈にやきついたまま、沖縄那覇空港に到着。そのまま宿舎のムーンビーチ・ホテルへ直行。そこには沖縄県のファンの人達も試写会をみて、すでにホテルで待機していて、東京のファンエールの支援を行ないます。本来はムーンビーチの浜辺で行うはずのイベントも、台風のような沖繩の天候に、急拠ホテル内でと変更されましたが、竹宮恵子さん、監督恩地日出夫さん、声優の古谷徹さん、小山茉美さん、ゲストに白石冬美さんと井上真樹夫さんも出席し、ファンとティーチ・イン。楽しい雰囲気に、さきほどまでの雨も、逃げさり星空が輝きはじめそこで全員でビーチに出て、カガリ火の中で撮影会や、握手会などを行ないました。ダ・カーポのミニコンサートもあり、「地球へ…」の主題歌を全員で合唱し、いよいよフィナーレ。このゴールデン・ウィーク最大のアニメ映画「地球へ・・・」らしい、雄大なそして豪華な試写会は終了したのですが、その映画の楽しさとともに、ファンの胸の中には、この試写会に出席できたという喜びがいっぱいて、イベント終了は夜中だというのに全員目が輝いておりましたゾ。

June (Monthly OUT)

ミュウたちの星ナスカに強行着陸した。キースに対してジョミーは心理探査を試みたが、キースは心を固くガードして、ひらこうとはしなかった。「地球は、どうしてもわれわれを受けいれてくれないのか」ジョミーの問いにキースは静かに答えた。「人類対ミュウ•••••この戦いは、おそらく地球の意志だ」謎めいた、このキースの言葉をきいた時、ジョミーは“運命”の二字が、前方にたちはだかって、自分の心を圧するのを感じた。しかし、この苛酷な運命の、戦いの幕を切って落としたのは、本能という他なない直観によって人類との闘いと、そしてその闘いの戦士となるべき自分を予見していたトォニィであった。「危険・・・・・・おまえは危険・・・・・・おまえを殺す......」トォニィは探査室の窓ガラス越しにキースをじっと見つめた。やがて、の目は異常に光り、ガラスが音をたてて割れると、思念波がすさまじい勢いでキースを襲った。しかし、対ミュウの戦いの訓練を受けているキースは、とっさにガラス破片をトォニィに投げつけて倒し、立のちふさがるフィシスの腕をわしづかみにすると、二人をたてに混乱するナス力を脱出しようとした。ジョミーは、光の玉となってその後を追い、フィシスとトォニィをとり戻したが、払った犠牲は大きかった。カリナがショックで死んでしまったのだ。しかし、この時、意外なことがおきた医務室に収容されていたトォニィが、急速な成長を始めたのである。トォニィはベッドから、まるで変態をおえた蝶のようにあでやかに、スルリと降り立つと、ジョミーに妖しくほほえんで、言った。「大きくならなくっちゃいけなかったんだ、ぼく。あなたを助けてあげなくっちゃね」と言って、振りかえると、今度はフィシスに向って言った。「あなたの顔は見たくない。あなたがカリナを殺したんだ。ぼくはみんな見ていた。あの地球人に逃げ道を教えたり、かばったりした。裏!!!」フィシスは、この言葉にその場を走り去った。彼女はキースにひきつけられていく自分をコントロールすることができなかったからトォニィは、そんなフイシスを歯牙にもかけず「放っておけばいいよ。それより早くしないと危ない。人類はきっと攻撃してくるに違いない」彼の心には、人類と闘うべき戦士としての本能が異常なまでに発達し始めていた。一方、辛うじて脱出したキースは、直ちに地球のコンピューター、グランド・マザーにナスカの様子を緊急報告した。グランドマザーの言葉は、「ナスカヲ攻撃セヨ」であった。一方、ジョミーはトォニィの予言に従い、ミュウたちにあらゆる宇宙船を使ってナスカを離れることを命じた。しかし生来、戦いを好まぬミュウたちは臆病な小動物のように地下に潜りこんで難を逃がれようとした。しかし、地球のミサイル攻撃の前にあっという間にナスカは壊滅した。ジョミーは、ミュウたちを助けようとナスカに舞い戻り、爆発するミサイル、噴出するマグマに巻きこまれながらその抜群のESP能力できりぬけたものの、目も耳も口も利かなくなっていた。ミュウたちの悲惨な姿を目のあたりにして、自分自身を閉じこめてしまったのである。ジョミーは、この深い悲しみと、静寂の中、テレパシーで仲間に語りかけた。「ぼくはソルジャー・ブルーの意志をついでから、ずっと迷っていた。人類と闘わずに地球に戻れる方法を探して......。しかし、それはムダだった。ナスカもなくなってしまった。もはやためらうことは許されない。われわれは生きるために地球へ行く……それが地球を破壊することになっても......。語り終えたジョミーはゆっくりとドアの向うに消え、再び姿を現わさなかった。この長の激しくも静かな決意の前にミュウたちは沈黙した。と、トォニィが口を開いた。「ソルジャーは心を閉じてしまった。だから、その心はもう見えない。でもソルジャーの意志はぼくがつく。たとえ何年かかっても地球へ行く」戦士・トォニィに率いられたミュウの軍団は反撃を開始した。それはやが地球を追いつめていった...。さあ、この後は映画館で見よう。(ゴマスリ、ゴマスリ)

June-July (Animec)

今、地球の大気は汚れきり、母なる海ですら生きものの影をとどめてはいなかった。やがて人類は、人間自身が地球を死に追いやっている事実に気がつき、特殊政府体制、S・D時代に入る。生命はすべて母体からの出産ではなく、試験管ベビーとして生まれるようになり、子供たちは養父母の手によって育てられていった。しかも、その場所は地球ではなく、社会の清浄化に役だたせる人間を育てるための人工惑星、幼年育英都市だったのだ。そこで育った子供たちは、14才になると目覚めの日と呼ばれるコンピューターによ成人検査をうけ、パスした者は教育惑星にと送られ、その後地球へと送られていくのだった。それは完全な生命管理社会体制に、ほかならなかった。しかし、皮肉にもこのシステムによ異分子が生みだされた。ミュウと呼ばれる彼らは普通の人類とは違い、超能力をもつ、まったく新しい人類だった。それゆえに、ミュウは人類から迫害される日々を送っていた。しかし・・・ミー・育英都市、アタラクシアでは一人の少年、ジョミー・マーキス・シンが遊園地で目覚めの日・成人検査をうけようとしていた。コンピューター、テラズナンバー5によって14年間の記憶を除去される寸前、強力な思念波がとびこんできた。ミュウの長、ソルジャー・ブルーだった。ブルーは今、つきんとする自分の命とミュウ全体の運命をあづけるために、次代の長としてジョー・マーキス・シンを選んでいた。ジョミーはミュウを恐れ憎しむ普通の人間の意識をもっていたが、今はソル・ジャー・ブルーの命とひきかえに自分の力に目覚めていた。ソルジャー・ブルーの意志を受けついだジョミーは、ミュウたちをつれ、地球へとむかった。教育ステーションEI一〇七七、成人検査にパスしながらもS・D体制に反抗する少年がいた。セキ・レイ・シロエ。シロエはマザー・イライザの申子と異名をとるエリート、キース・アニアンにことごとく対立していた。やがてシロエは、キースの出生の秘密をさぐりあてる。キースはマザー・イライザに造りだされた実験体・・・・・・ちょうどその頃、新入生にジョミーの思念波がおそいかかる。"すてさっ過去を思いだせ"と。シロエは、混乱のスキをぬってステーションを脱出し、地球へとむかった。だがマザー・イライザは、そんなシロエを認めず、キースにシロエをおそわせる。キースはシロエにむけてミサイルを放った。やりきれない思いとともに。ミュウは惑星ナスカに降りていた。ジョミーはこの地で一人の息子を得た。しかも母体からの自然出産児だったのだ。しかし、ナスカもミュウの安住の地ではなかった。地球側の攻撃に多くのミュウが死んでいった。ジョミーは息子トオニィたち生き残ったミュウをつれ地球へとむかった。そして今、ジヨミーは地球の若き司令官キース・アニアンとグランド・マザーとの会見に地球へと降りたった。ミュウと人類の最後の戦いが始まろうとしている・・・・・・。

原作について

地球へは、マンガ少年に連載され、第四部が終了した。第一部はジョミーがミューこの長、ソルジャーになるまで。第二部はシロエがキースに殺られるまで。そして第三部ではキースがナスカより脱出するまでが描かれている。そして第四部というわけなのだ。連載当初、少女マンガ家がオリジナルのSFを少年誌に連載したということで話題を呼んだ。同じ頃、萩尾望都=光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」が週刊少年チャンピオンに連載され、好評を呼んだ。かつて矢代まさこが少年誌に進出し、結局成功しなかったことを考えると、また、少年誌に男性作家による純愛ものが連載され好評だということを考えると、少年、少女と分けられていたマンガが、その接点の部分で融合を始めているように思われる。それは悪いことではない。この映画は、竹宮恵子が少女だけのものでなくなった証しだと思う。

声優審査会

「地球へ・・・」 アマチュア声優コンテ ストには全国各地から1万2千5百名 の応募者が参加、第一次予選では28名 が合格し、本選は3月15日土曜日に新 橋プレスホテルにておこなわれた。竹 宮恵子、恩地日出夫両氏の挨拶の後に 若い熱気に包まれた審査があり、井上 真樹夫・紫田秀勝の模範演技が終了後 最終合格者が発表された。 合格したのは静岡県三島市の木内一 裕君と、横浜市の砂子弘美さんの二人 で、次点として東京都保谷市の須知信 之君が入賞した。

1: テラの花・

映画のラストシーンでは平野いっぱいに花が咲いています。その花が「テラの花」です。地球の平和の象徴のごとく咲きひろがるこの花には、自然に対する竹宮さんの熱い願いがこめられています。ぜひあなたの窓辺にもこの一輪を………….花の性質上、寒冷地での温室栽培が最適ですか●ら、北海道、東北地区のロードショーでは先着何千名かにこの花がプレゼントされます。それより暖かい地方では育て方に注意が必要です。それだけに「テラの花」の押し花などは貴重品になりそうですね。あなたも根性で育ててみませんか!わしくはPをご覧ください。東映提供50名

2: EPレコード・・

「地球へ・・・」のすばらしい映像とともに流れる 主題歌も聞きのがせません。ダ・カーポの唄うこ の歌は、昨年の「銀河鉄道999」につづくスー パー・ヒットとして大きな話題をよんでいます。 B面の「愛の惑星」は作曲がミッキー吉野とあっ て、ともに華麗な顔ぶれです。本誌ではこのE Pレコードを読者プレゼントしています。くわ しくはP10を コロンビアレコード提供 5名

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